路傍の水

日々 絵や創作のこと

2020-01-01から1年間の記事一覧

創作SS:嘯嘆き

彼女との出会いは高校生のころに観た映画だった。強烈な存在感をはなち、美しく輝くルックスはもちろん、人間の影の揺らぎや、歪な心情を表現する演技力の高さに強烈に惹かれたことが切っ掛けだった。少ない小遣いのみでやり取りし金欠を極めていた当時の三…

創作SS:右側に立つ人

出囃子の音に急き立てられ、暗い舞台袖から光の当たる舞台の真ん中、すっくと立つマイクの元へ向かった。最前列のお客さんの顔が舞台のライトに照らされて、どんな表情をしているのかもわかる。拍手に気圧されている暇はない。さあ、口を開け。考えに考え抜…

いつからだったか

「絵を描く」ことそのものに対して考える時間は多いのに、一枚の作品について考える時間がとても少なくなった。 サムネイルラフを描いて、モチーフを厳選して、色のイメージをかためて、という絵を描くプロセスを踏まなくなってしまった。それは落書きを増や…